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保育運動と練馬保問協のあゆみ

練馬保問協は、全国的な保育運動のあゆみと共に、また社会の変遷と共にあゆんできました。現在に至るまでのあゆみを紹介します。


終戦後の児童福祉法の制定

  ようやく終戦をむかえた日本では、都市の壊滅,物資や食料が著しく不足し、加えて長引くインフレの中で、人々の生活は貧しく、特にその影響を受けて子ども 達の生活は危機的な状況にありました。子ども達が最大の被害者であったと言えましょう。廃墟となった街には、浮浪児や孤児がさまよい、生きるために犯罪に 走る児童も増え続けてゆきました。このような児童に対して、政府は孤児の保護対策などを進めていましたが、さらに積極的に次代の社会をになう児童が健全に 育成されるようはかることが急務でした。

 その意識は、この時代の多くの大人が「自らの責務」あると認識され、そういった流れから昭和22年11月21日「児童福祉法」が成立しました。この児童福祉法は,その後児童福祉行政の中心的な法律となり,これは現在においても変わりありません。

 この時代に生じた、「児童の健全な育成はすべての大人の責務である」という考えの広がりを背景に「保育運動」というものが誕生したと言えます。


女性の社会進出と保育環境の整備

 戦後の復興が進み、ようやく人々の日常にも豊かさが生じてきた1960年代、女性の社会進出もようやく進みまじめました。これに伴い、保育所などの保育施設の需要も高まり、各地で整備が進められました。

  1970年代に至ると、女性の社会進出が更に進み、全国で公立だけでも毎年500~600ヶ所の保育所がつくられました。このころから、保育士(当時は 「保母さん」と呼ばれていました)が中心となった保育研究・学習を行う団体や、保護者が保育に関する共通の課題に取り組む団体が全国で発足してゆきます。 そして、保育士、保護者の隔てなく、ともに保育の拡充や保育の質の更なる向上を目指した団体も誕生してくることになります。


保育待機児童の増加

  1970年代の第二次ベビーブームも相まって、まずます保育所の拡充の必要性が高まってきますが、しかし、その後まもなく出生率は下がり始めます。出生率 の低下にはいろいろな要因が考えられますが、昨今では女性の社会進出のさらなる増加に加え、晩婚化や晩産化が要因になっていると言われています。

 しかし、子どもの減少と相反するように、保育を必要とする児童の数は急増しています。これに伴い、保育運動の有り様も、さらなる保育所拡充の要求が中心となってゆきました。


離婚率の上昇、子ども達が抱える様々な問題の浮上

  1990年代より、離婚率が急激に上昇します。これに伴い、いわゆる「ひとり親家庭」も増加し、そういった家庭の子育てを支援するという役割が保育所に生 じてきます。また、ADHDなどの発達障害を抱える児童も増加傾向にあり、こういった障害児童やその家庭へのサポートも必要となり、またさらに現在大きな 社会問題となっている児童虐待についても、保育所という保育施設が果たす役割は大きくなってきました。

 こういった社会や子ども達の問題は、保育の現場に大きく関係してくるようになり、保育所ではさらに多くの知識やノウハウが必要となってきました。保育運動もまた、こういった問題について取り扱うようになってゆきました。


子どもの権利に基づく保育運動

  昨今、保育や教育の現場で、「子どもの権利」という観点が用いられることも増えてきました。「子どもの権利」とは、子どもを主人公として尊重し、子どもも 大人と同じ独立した人格を持つ権利の主体としてみなし、子どもの権利を保障する、ということです。子どもの権利は「生きる権利」、「育つ権利」、「守られ る権利」、「参加する権利」の四つに大きく分けられます。これらの権利を持つ子ども達は、幼いがためにその権利を行使したり主張することができません。そ のために、戦争などによって子どもが最大の被害者となってきました。

 その反省から、子どもの権利を社会が保障してゆこうというという気運国際的 に高まり、1989年国連総会で「子どもの権利条約」が制定されました。現在、世界中で191カ国がこの条約を守ることを約束(批准)しています。日本は 1994年、世界で158番目にこの条約に批准しました。

 日本において今「子どもの権利」が改めて注目されている背景には、児童虐待や学校での いじめなどの社会問題があります。「子どもの生きる権利や育つ権利が他人によって、また大人の都合によって失われてしまうことがあってはならない」という 考えが社会に広く行き渡らなければ、こういった社会問題の解決は難しいと言えます。

 保育所には様々な事情を抱えた子どもが通っています。その事情がどのようなものであっても、子どもの4つの権利が保障されなければなりません。そういった観点から、保育運動の中で、子どもの権利の重要性を掲げるようになってきています。


保育運動のあゆみと練馬保問協

 このように、全国各地での保育運動は、その時代に存在する様々な課題を子どもの視点から見つめ続けてきました。そのあゆみと同じくして練馬保問協も、長い活動の歴史の中で様々な形で課題に取り組んできました。

  練馬保問協には、保育所の保育士、在園児保護者をはじめとして、保育室、学童クラブ、家庭福祉員など保育・子育てに係わる個人・団体が加盟しており、保育 に留まることなく、子ども達に関すること全般についてともに協議を進め、保育・子育ての研究、保育行政への保育拡充の要求、親子で楽しめるイベントの開催 などを行っています。

 
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